【感想・ネタバレ】「8番目のマリア」美輪和音|“正義”とは何か
美輪和音さん「8番目のマリア」の感想です!
ネタバレ含みますので、未読の方はご注意ください。
「8番目のマリア」内容
【あらすじ】
Amazon.co.jp「8番目のマリア」
「罪を告白し懺悔せよ」。幼なじみ六人とともに七角形の部屋に閉じ込められた神崎青史が参加させられる、命をかけた多数決。ゲームを仕組んだのは誰なのか、戦慄の心理戦の先に潜む衝撃の真実とは!?
幼なじみの結婚式の後、気づいたら七角形の部屋で拘束されていた7人。
部屋から出る方法は、全員に共通した罪を7つ告白すること。
加えて、それぞれの罪の首謀者だと思う人物を選出すること。
ただし、首謀者に選ばれてしまった人には死が待っている。
いわゆるデスゲーム的な内容です。
「8番目のマリア」感想(ネタバレあり)
おすすめ度:★★☆☆☆
美輪さんの他の作品と比べると、巧妙な伏線回収とかは少なめですが、そのぶんサラっと読める印象です。
ちなみに、今まで読んだ作品の中では1番胸糞悪くなりました(笑)
あ、褒め言葉です。
どっかの感想で書きましたが、美輪さんの作品ではこのドロドロした展開を求めています(笑)
今回も期待を裏切りませんでした。
登場人物がみんな悪人
もうね、登場人物みんな悪人ですね。
とくに神崎青史。
最初が青史視点だから、彼は良い奴なのかと騙されてしまうんですけどね。
7つの大罪の中で1番罪が重いのは「傲慢」とされていたとおり、彼が1番の罪人でした。
ちょっと面白いのが、こういうデスゲーム的な作品って、大抵は最後に1人しか生き残れない仕組みじゃないですか。
でも、今回は全員がボタンを押さなければ、全員生き残ることもできるわけです。
だけど結局、皆自分が生き残りたいがために、ボタンを押してしまっていました。
クンダリーニの言うとおり、殺し合っているのは自分たちなんですよね。
なかでも「ボタンを押さないで」と言っておきながら、自らボタンを押す青史は…うーん、ずる賢い。
強いて言えば、藍とすみれにはちょっと同情するかな。
藍が嫉妬のあまり嘘をついてしまった気持ちは分かるし、すみれも罪悪感に悩まされた挙句、青史に傷つけられた立場でもありますもんね。
クンダリーニの正体
冒頭で「正義」について語っている人物は、クンダリーニ。
そして、クンダリーニ=虹子(青史の恋人)でした。
「誰かを救うことで、自分が救われる」の言葉がヒントになっていましたね。
ちなみに、罪の内容を虹子に伝えていた人物(スパイ)はすみれでした。
S君は真太郎、榊、青史の誰か…と予想していましたが、途中の会話に出てきた「山吹蒼太」でしたね。
個人的に、虹子の行っていることが正義かと問われると、ちょっと微妙な気がしています。
たしかに、青史たちは皆ひどいことをしていますが、結局、虹子がやっていることも殺人ですからね。
(直接手を下しているわけじゃないってのがまた…)
だからこそ、タイトルが「8番目のマリア」(8番目=虹子)なのかなとも思いました。
美輪和音さんのおすすめ作品
個人的な1番のおすすめは、「強欲な羊」です!
人間の毒々しい面にスポットを当てた連作集。
短編なので読みやすいです。
↓ネタバレ感想はこちら
「8番目のマリア」と同じように長編作品なら「ウェンディのあやまち」。
餓死事件の真相に迫るミステリー小説。
これもまあ、胸糞悪くなるかな(笑)
↓ネタバレ感想はこちら
まとめ
以上、美輪和音「8番目のマリア」の感想でした!
脚本家としても活動する美輪さんらしく、そのまま映像化できそうな作品だなと思いました。
(ということで、いつかお待ちしています!)
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